「扶養を外れると社会保険料がかかるから損」
そんな話を聞いて、働く時間を増やすべきか悩んでいる方は多いでしょう。
たしかに扶養を外れると、健康保険料や厚生年金保険料の負担が発生します。しかし見落とされがちなのが、将来受け取れる年金が増えるという大きなメリットです。
相談者さんには短期的な手取りだけでなく、老後も踏まえた生涯収入を考慮して具体的にお答えするようにしています。
この記事では、扶養を外れて厚生年金に加入した場合、将来の年金がどれくらい増えるのかを年収別にわかりやすく解説します。
扶養内だと年金はどうなる?
扶養内で働いている配偶者は、一般的に国民年金の第3号被保険者です。
第3号被保険者の最大のメリットは、自分で国民年金保険料を払わなくても老齢基礎年金を受け取れることです。
ただし、将来受け取れるのは基本的に老齢基礎年金のみです。
一方で扶養を外れ、勤務先の社会保険に加入すると、
・老齢基礎年金
・老齢厚生年金
の両方を受け取れるようになります。
つまり将来の年金額が上乗せされるのです。
厚生年金に加入すると何が増える?
厚生年金は加入期間と給与額によって将来の受給額が決まります。
給与が高いほど、また加入期間が長いほど受け取れる年金は増えます。
例えば月収15万円程度で20年間厚生年金に加入した場合でも、老齢厚生年金が年間10万円前後増えるケースがあります。
年間10万円増えるということは、20年間受給すれば約200万円です。
老後資金として考えると決して小さな金額ではありません。
私は扶養の損得相談を受けることがありますが、「毎月の保険料」だけ見ている人が非常に多いです。本当に見るべきなのは、老後まで含めたトータル収支です。
年収別に年金増加額をシミュレーション
ここでは目安として20年間厚生年金に加入した場合を想定してみます。
年収150万円の場合
月収換算:約12.5万円
将来増える老齢厚生年金の目安
年間:約8万円
65歳から85歳まで受給した場合
約160万円増加
年収180万円の場合
月収換算:約15万円
将来増える老齢厚生年金の目安
年間:約10万円
20年間受給すると
約200万円増加
年収240万円の場合
月収換算:約20万円
将来増える老齢厚生年金の目安
年間:約14万円
20年間受給すると
約280万円増加
年収300万円の場合
月収換算:約25万円
将来増える老齢厚生年金の目安
年間:約17万円
20年間受給すると
約340万円増加
※実際の年金額は加入期間や標準報酬月額などにより変動します。
厚生年金のメリットは老齢年金だけではない
実は厚生年金のメリットは老後の年金だけではありません。
障害厚生年金
病気やケガで障害状態になった場合、国民年金より手厚い保障を受けられる可能性があります。
遺族厚生年金
万が一の際には家族が遺族厚生年金を受け取れる場合があります。
つまり厚生年金は「老後の貯金」だけではなく、「保険」の役割も持っているのです。
この点は意外と知られていません。
扶養を外れると本当に元は取れる?
多くの人が気になるのがここでしょう。
厚生年金保険料は給与から天引きされるため、短期的には手取りが減ります。
しかし保険料の半分は会社負担です。
例えば本人が毎月1万5,000円負担している場合でも、実際には同額を会社が負担しています。
つまり自分が払った金額以上の保険料が年金原資として積み立てられていることになります。
さらに将来の年金増額分や障害・遺族保障まで考えると、長期的には大きなメリットになるケースが少なくありません。
扶養を外れるかどうかは「今年の手取り」だけで判断すると失敗しやすいです。特に40代以降は老後資金への影響も考えて判断したいところです。
こんな人は厚生年金加入のメリットが大きい
以下に当てはまる方は、厚生年金加入による恩恵を受けやすいでしょう。
・今後も長く働く予定がある
・年収150万円以上を目指している
・老後資金に不安がある
・配偶者に万一のことがあった場合が心配
・将来の年金額を少しでも増やしたい
特に50代まで働く予定がある人は、加入期間が長くなるため年金増額効果も大きくなります。
まとめ|扶養を外れるなら「将来の年金増加額」も確認しよう
扶養を外れると社会保険料の負担が発生するため、短期的には手取りが減ることがあります。
しかしその一方で、
・老齢厚生年金が増える
・障害厚生年金が受けられる
・遺族厚生年金の保障がある
・保険料の半分は会社負担
という大きなメリットがあります。
特に長期間働く予定がある方は、将来受け取れる年金が数百万円単位で増える可能性もあります。
扶養を外れるかどうかを判断する際は、「今の手取り」だけでなく、「老後にもらえる年金額」まで含めて考えることが大切です。

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