「扶養を外れると損するから、130万円を超えないように働いている」
パートやアルバイトで働く人の中には、そんな話を聞いたことがある方も多いでしょう。相談者さんをヒアリングの際にこのような話がたくさん聞かれます。
しかし実際のところ、本当に130万円を超えると損なのでしょうか?
結論から言うと、一時的に手取りが減る“扶養の壁”は存在します。しかし、一定以上の年収になると手取りは再び増え始め、将来の年金額も増えるため、必ずしも損とは言い切れません。
この記事では、年収130万円~200万円の範囲で、扶養を外れた場合の損益分岐点をわかりやすく解説します。
そもそも「130万円の壁」とは?
130万円の壁とは、配偶者の健康保険の扶養から外れる基準のことです。
扶養のままであれば、自分で健康保険料や厚生年金保険料を支払う必要はありません。
しかし扶養を外れると、
・健康保険料
・厚生年金保険料
・雇用保険料(一部)
などを負担する必要があります。
そのため、年収が少し増えただけでは社会保険料負担の方が大きくなり、手取りが減ってしまうケースがあるのです。
扶養を外れるとどれくらい保険料がかかる?
社会保険料は地域や加入する健康保険組合によって異なりますが、一般的には給与の約14〜15%程度が本人負担になります。
例えば年収150万円の場合、
150万円 × 約15% = 約22万5,000円
程度が社会保険料として差し引かれます。
さらに所得税や住民税も発生するため、思ったほど手取りが増えないことがあります。
年収別の手取りイメージ
おおまかな目安として比較してみましょう。
| 年収 | 手取り目安 |
|---|---|
| 130万円 | 約128万円 |
| 140万円 | 約118~122万円 |
| 150万円 | 約126~129万円 |
| 160万円 | 約134~137万円 |
| 170万円 | 約142~145万円 |
| 180万円 | 約150~153万円 |
| 190万円 | 約158~161万円 |
| 200万円 | 約166~170万円 |
※社会保険加入を前提とした概算です。
注目したいのは、130万円から140万円程度に収入が増えた場合です。
社会保険料負担が発生するため、かえって手取りが減るケースがあります。
これが「働き損」と呼ばれる状態です。
実際に計算してみると、130万円から140万円に増えただけでは手取りが下がるケースもあります。だから多くの人が130万円を意識しているんですね。
では何万円から得になるの?
ここが一番気になるポイントです。
扶養を外れた場合、一般的には年収160万〜170万円前後が損益分岐点になることが多いです。
つまり、
・130万円→手取り約128万円
・160万円→手取り約135万円前後
となり、ようやく扶養内の手取りを上回り始めます。
さらに年収180万円、200万円と増えるにつれて差は大きくなります。
短期的には損に見えても、長期的には収入増加のメリットが勝ってくるわけです。
見落としがちな「厚生年金」のメリット
扶養を外れると保険料負担ばかりに目が向きます。
しかし、実は厚生年金に加入できることも大きなメリットです。
国民年金だけの場合と比べると、将来受け取る年金額が増えます。
例えば10年以上厚生年金に加入すれば、老後に受け取る年金額へ大きな差が生まれることもあります。
扶養内かどうかだけでなく、
・将来の年金
・障害年金
・遺族年金
といった保障面も考慮する必要があります。
配偶者の家族手当がなくなるケースも
もう一つ注意したいのが、勤務先の家族手当です。
会社によっては、
・配偶者が扶養内なら月1万円支給
・扶養を外れると支給停止
という制度があります。
例えば月1万円なら年間12万円です。
この場合、扶養を外れることで失う金額も考慮しなければなりません。
損益分岐点が170万円ではなく180万円以上になることもあります。
まずは配偶者の就業規則を確認しましょう。
扶養内にこだわるべき人
次のような方は扶養内を維持する選択肢もあります。
・子育てで働く時間が限られる
・介護中で勤務時間を増やせない
・年収150万円程度までしか増やせない
・家族手当の金額が大きい
こうしたケースでは無理に扶養を外れる必要はありません。
扶養を外れた方が有利な人
反対に、
・勤務時間を増やせる
・時給が高い
・正社員登用の可能性がある
・将来の年金を増やしたい
という方は、扶養の壁を気にせず働いた方が有利な場合が多いです。
特に年収180万円以上が見込めるなら、手取り面でもメリットが出やすくなります。
最近は人手不足で時給も上昇傾向です。少しだけ働く時間を増やすより、思い切って180万円〜200万円を目指した方が結果的に家計が楽になるケースも少なくありません。
まとめ|損益分岐点はおおむね160万~170万円
扶養を外れると社会保険料負担が発生するため、130万円を少し超えた程度では手取りが減ることがあります。
しかし、
・年収160万〜170万円前後で逆転
・年収180万円以上ならメリットが大きくなる
・厚生年金による老後資金増加も期待できる
という点を考えると、「扶養を外れる=損」とは言えません。
大切なのは130万円だけを見るのではなく、
「自分の家庭では何万円が本当の損益分岐点なのか」
を把握することです。
家族手当や勤務先の制度も含めて計算し、自分にとって最適な働き方を選びましょう。

コメント